よくあるご質問

ここでは小さく生まれた赤ちゃんに関するよくあるご質問をご紹介します。

Q&A

赤ちゃんの医療は、乳幼児医療費助成制度の対象となります。市区町村によって上限年齢の差はありますが、どこの地域でも生まれた日から対象となりますので、生まれた直後に入院となって医療を受けた場合でも発生する医療費はないと考えて大丈夫です。ただし、紙おむつ代、人工乳代、おくるみ(衣服)代など自宅でも必要となるものの費用はご両親に負担していただくことになります。また、転院となる際に病院独自の救急車や民間救急車を利用して搬送された場合には、各医療機関や民間業者が設定している搬送車使用料を請求されることがあります。その他、自動聴性脳幹反応(AABR、先天性難聴のスクリーニング検査)と呼ばれる聴覚障害を早期に発見するための検査には、各病院が設定した実費が必要となります。

2,000g以下の低体重の赤ちゃん、身体の未熟性が高いと判断された赤ちゃん、手術が必要となる赤ちゃんなどには、「未熟児養育医療制度」「自立支援医療(育成医療)」といった公的支援制度があります。子どもがNICU/GCUに入院された際には、主治医に対象となるかどうか確認してみると良いでしょう。

すべての妊産婦、子育て世帯、子どもに対し、出産前から子育て期にかけて切れ目のない支援を行うことや、支援を必要とする子ども・妊産婦などへのサポートプランを作成すること、民間団体や自助団体などと連携しながら支援体制を強化するための地域資源を作ることなどを目的とした「こども家庭センター」の設置が令和6年4月から全国の市区町村を対象に始まっています。令和6年5月時点で全国の市区町村の半数に設置され、また今後も拡充されていくことが期待されています。

このセンターを核として、母子保健と児童福祉という両輪を一体的に運営することによって、NICU/GCUを退院した後の子どもやご家族に対して、適切なサポートを実施することが市区町村に求められています。不安なこと、相談したいけれど医師に聞くほどではないと感じることなどは、ぜひ市区町村の窓口にお問い合わせください。

基本的には「大人が寒い・暑いと感じない温度、大人が快適と思える温度」を目指すと良いでしょう。大人の場合は立ったり座ったりの姿勢で過ごすことが多いですが、赤ちゃんの場合は寝ている姿勢が多く、床の温度に近い温度で生活することになります。物理の法則で「温かい空気は上へ」と習ったことが記憶にあるかもしれませんが、床は私たち大人が感じるより低温になりやすいです。ですから、赤ちゃんの生活主体が床に近い位置にある場合(ベビーベッドなどを使わない場合)には、寒すぎないかどうか注意が必要です。少し肌寒いようであれば、やや厚めの肌着を着せるなど工夫してあげてください。暑すぎる場合には、薄着にする、室温を大人が感じる快適なレベルまで下げる、水分摂取を意図的に増やしてあげる、などの配慮が必要です。

健康診査(乳幼児健診)については法律で「満一歳六か月を超え満二歳に達しない幼児」(1歳6か月児健診)および「満三歳を超え満四歳に達しない幼児」(3歳児健診)を対象とする」とされており、受診期間には幅が設けられていますので、修正月齢で地域の健康診査(乳幼児健診)を受けることができます。

また3〜4か月での健診を行っている自治体も多いですが、こちらも修正月齢での受診が可能です。

健診の案内は出生日に基づいて告知されますが、ご家族の判断によって修正月齢にずらすことができます。修正月齢での受診を希望される場合には、受診予定日までに地域の保健センターに連絡を入れるようにしましょう。

基本的にはかかりつけの小児科の先生に受診・相談するのが良いでしょう。その先生に、病院への受診の判断をしてもらいましょう。ただし、NICU/GCUを退院する時点で主治医から指示があった場合にはその指示に従ってください。

日本の場合、医師免許があれば麻酔科・歯科を除くどの診療科でも開業が可能です。このため、クリニックの中には開業まで子どもの医療にはほとんど触れたことがなかった医師が「〇〇内科小児科」などと掲げていることもあります。しかし、NICUを退院したお子さんのかかりつけ医としては、「小児科専門医」の資格を有している先生だと安心です。小児科専門医の医師のクリニックでは、その多くが「○○こども医院」「〇〇キッズクリニック」「〇〇小児科・内科」など子どもの表記をメインにされています。小児科専門医は日本小児科学会のホームページで検索できます。参考にしてください。

https://www.jpeds.or.jp/modules/senmoni/

外部サイトに移動します。

これ以外の視点として、自宅や子どもの預け先から通いやすい距離であること、診療時間がご家族の生活に沿うかどうかを確認することも、かかりつけ医を決めるためのポイントと言えるでしょう。

また、小児科専門医がさらに特にどの分野(新生児、アレルギー、心臓病、神経・てんかん、発達障害など、小児科の中にもそれぞれの専門分野があります)を得意としているのかを確認することで、お子さんについて相談したいときに、より素早く的確に答えてもらえる可能性が高くなります。

出産予定日から数えて3~4ヵ月頃に首がすわることが一般的です。運動発達について、3歳未満の子どもの場合は修正月齢に応じて評価します。首がすわる、ということも運動発達の一つですので、出産予定日を基準に考えていただくのが適切です。ただし、1,000g未満で生まれた超低出生体重児では首がすわるまでに修正月齢で6ヵ月程度かかる子もいますので、医師はその他の全身状態と合わせて評価を行なっていきます。

日本では、健康な正期産児(37週0日~41週6日で生まれた赤ちゃん)での離乳食開始は生後5~6ヵ月頃が適当とされており、早く生まれた赤ちゃんであっても、修正月齢で5~6ヵ月頃が離乳食開始の目安となります。離乳食を始める目安は、実は赤ちゃんが教えてくれることもあります。それは、周りの大人が食べている姿をじっと見つめるようになる、口をモグモグさせる、よだれが出るようになる、などの反応です。これらは体が離乳食を始める準備ができている一つのサインとなります。さらに、スプーンなどを口に入れても舌で押し出す行為が減っていれば、離乳食を始めるタイミングとみて良いかもしれません。

ただし、出生体重が小さいほど摂食行動の発達は遅い傾向があり、修正月齢でみてもさらに1~2ヵ月程遅く開始することもあります。

お子さんが離乳食を食べてくれない。。。困ってしまいますね。

小さく生まれた赤ちゃんの場合、摂食機能の発達も差が出やすくなります。特に1,500g未満で生まれた極低出生体重児の場合、運動機能や発達の状況、摂食機能の発達などを総合的に考えていく必要があります。出生体重が小さいほど摂食行動の発達が遅くなると言われており、特に離乳食の開始時や2回食に移行する時期については、1,000g未満で生まれた超低出生体重児では、修正月齢でも1~2ヵ月以上遅くなることもあります。このため、一人ひとりの発達段階を確認し、個別にきめ細かく進めていく必要があります。

離乳食は大人の食事へのはじめのステップです。無理に始める、嫌なのに食べなければならない、という経験ではなく、食べることで生活が豊かになることを体験できるような機会になると良いですね。

お座りができる前の運動発達がどこまで進んでいるかを順番に考えていく必要があります。例えば、首がすわっていない子、腰がしっかりしていない子がお座りが突然できるようにはなりませんので、どのレベルまで運動発達が獲得できているのかを評価して診察していきます。一般的には首がすわってから1~2ヵ月経過すると寝返りができるようになります(修正月齢5ヵ月頃)。また、首がすわってから2~3ヵ月経過すると、両手で支える形でのお座りができるようになります(修正月齢7ヵ月頃)。両手で支えながらのお座りができるようになってさらに2~3ヵ月経過すると両手を離したお座りができるようになります(修正月齢9ヵ月頃)。

このように獲得していく運動発達は、適切な感覚刺激を通じて学習されていきます。赤ちゃんをひとりぼっちにせず、赤ちゃんの身体を使った遊びを繰り返し行なっていくことは、感覚刺激としてとても重要です。

1,500g未満で生まれた赤ちゃん(超・極低出生体重児)の場合、同年齢の正期産児(37週0日~41週6日で生まれた赤ちゃん)に比べると、小柄で痩せていることが多く、低身長になりやすい傾向があります。しかし、このような子でも2~3歳頃までには伸びが改善し、他の子に追いつくことが多いです。

一方、追いつかない子の場合、放置しておくとそのまま思春期に至り、最終的に低身長になることもありますので注意が必要です。出生した日からの年齢が3歳を超えてもなお低身長の場合、低身長の精密検査や治療の対象者となることがありますので、主治医と相談してみてください。

1~3歳頃になると、言葉の発達の程度を考えることができるようになります。しかし、言葉の発達には非常に個別性があり、1歳半過ぎから良くお話しできる子から、3歳頃まではほとんどお話しできなかったにもかかわらず3歳から突然話し始める子もいます。大人の言葉や音への反応が乏しい場合には難聴が隠れていることも考える必要があります。

1歳半~2歳になっても意味のある言葉(「わんわん」「ぶーぶ」「まま」など)がない場合、3歳でも2語以上の文(「わんわん、すき」「まま、だっこ」など)がない場合には、医師は注意をして診察していきます。医師が子どもの言葉の遅れを考えるときには、①発声ができない、②意味の理解ができない、③コミュニケーションがとれない、のいずれに問題があるのかを考えて診察しています。ですので、家での会話の具体的な様子について、良く主治医に伝えるようにしてください。

子どもたちの運動は、周囲の環境に興味を持ち、自ら探究・探索することの結果として引き出されるものです。公園などの遊具は子どもの興味関心を引き、楽しいと感じる中で、無理なく全身運動を無意識に行うことができるように設計されていますので、とてもカラフルな遊具が多いのです。家の中での「おうまさんごっこ」や、屋外での「肩車」などは、体幹の保持やバランスの維持などに有効です。体全体を使った日常の遊びを繰り返す中で、徐々に筋力や持久力を向上させることができるでしょう。

ただし、歩くときに傾いている、足を引きずるような動作が目立つ、段差のないところでもつまずいて転びやすい、などの場合には早めに主治医に相談するようにしましょう。

NICU/GCUを退院した赤ちゃんは、必要に応じて数年に渡り「フォローアップ外来」で発達フォローを行っていきます。ご家族の心配事は、まずは外来主治医の先生に相談すると良いでしょう。しかし、次のフォローアップ外来まで待てないとご家族や親族の方などが不安を感じる場合には、かかりつけ医や市区町村の保健センターの保健師などに早めに相談することも大切です。

子どもの発達の遅れに対しては、①医療によるアプローチ(原因の診断、対処、リハビリ)、②福祉行政によるアプローチ(地域での療育支援、言葉の教室など)、③教育によるアプローチ(個々の遅れの程度に応じた教育の提供や、幼稚園・保育園・子ども園・学校での教職員の加配など)の3つのアプローチがあり、いずれの視点も重要となります。赤ちゃん・お子さんの成長を見守るための各プロフェッショナルが、それぞれの視点から今提供できる事や、今から取り組むべき事について検討してご家族に提示しますので、ぜひ相談してみてください。

授乳をしていると、おっぱいに「しこり」ができて痛みを感じることがあります。これは、母乳が乳腺の中にたまってしまっている状態です。赤ちゃんの授乳に合わせながら、しこりの部分をそっと圧迫し、母乳を出し切ってあげると楽になります。

そのまま痛みをがまんしていてもなかなか良くなることはありませんし、母乳の量が減ってしまう原因になります。さらに、おっぱいのしこりが炎症を起こすと、熱が出たり、身体がだるくなったり、おっぱいも痛くなるなどインフルエンザのような辛い状態になります(乳腺炎)。このような場合には、痛みを和らげて熱を下げる薬を使いながら、頻繁に赤ちゃんにおっぱいを飲み切ってもらいましょう。おっぱいを飲ませていても安全に使うことができる薬があります。

いずれにしても、授乳中のおっぱいの違和感は、早めに産科の医師や助産師に相談することをおすすめします。

前回のお子さんが早産、低体重などによってNICUに入院となった場合、次のお子さんも同じようになるか不安な方もおられると思います。早産で小さく生まれた原因(例えば、お母さんが妊娠高血圧症候群で早く出産しなければならなかった場合など)によっては、次のお子さんの妊娠に際しても同様の理由によって早産や低体重で出生する可能性もあります。

妊娠を考えている方、妊娠初期で産婦人科を受診する方には、医師が前回の妊娠経過についても確認しますので、早産を予防するための生活上の注意などを確認すると良いでしょう。また、次回の出産までに空けるべき間隔についても、産婦人科の先生と相談してみてください。